京都祇園のバーが手掛けるドレッシングやハーブソルトの愛用者をご紹介するシリーズ「エマパーソン」。第2弾は、私たちAperioの代表・中山祐子が、「エマドレ」と「エマソルト」が誕生した経緯やその魅力について語ります。中山のこれまでの歩みや困難を乗り越えた先にあるビジョンをご紹介します。

夢が無かった学生からバー経営者へ

──京都祇園でバー経営を始めるまでには、どんな人生を送ってきたのですか。

生まれも育ちも京都です。学生時代は至って普通の学生で、特に大きな夢を描いて追いかけるということもなく、友人たちと楽しく過ごしていました。

バーの世界に入ったのは、20歳頃から。アルバイトとして始めたのですが、さまざまな職業のお客様と出会って話を聞くことがとても楽しくて、すぐに好きになりました。大物歌手の方が来店されて、名曲の誕生秘話や歌う時の気持ちを語ってくれたこともありました。有名人ではないお客様一人ひとりにもドラマがあり哲学があって、それらに触れることができるのがこの仕事の魅力です。

一時期はOLとしてオフィスで働いてみたこともあったのですが、バーの仕事が忘れられなかった私はOLを辞め、自分でバーを開いて経営を始めました。10年ほど前のことです。

──経営者になりたての頃は、苦労もありましたか。

従業員を引っ張っていくことや、お金のやり繰り、仕入先とのやり取りなど、接客をするところ以外は未経験のことの連続でした。従業員がお客様の高い服に飲み物をこぼしてしまい、慌てて対応する、なんて日もありました。経営者が、こんなに大変だとは思いませんでした。

月日が経ち、そんな日々にも慣れてきた頃、今度はコロナ禍がやってきました。世の中が不要不急の外出は控えるようになり、飲み屋街に来る人は激減。店を閉めざるを得なくなりました。国から休業補償は出されましたが、それでもスタッフの生活を保障するためには売上を作らなければなりません。

そこで生まれたのがドレッシングシリーズ「エマドレ」でした。

商品開発のきっかけはバーの隠しメニュー

ドレッシング「エマドレ」を開発した頃の中山

──さまざまな可能性があった中から、調味料を作ろうと思ったのはなぜですか。

コロナ以前、バーの常連さんたちの間で、餃子が密かに人気だったんです。最初は普通の餃子のタレで提供していたんですが、もう少しバーっぽくできないかと考えて、ポン酢に赤ワインを混ぜてみたんです。それが思いのほか美味しくて、お客様たちからもすごく評判がよかったんです。コロナ禍でも売れるものは、と考えたときに、それを思い出して開発を決意しました。

──それが現在販売している「カンパイポンズ」の原型になったわけですね。

はい。私たちにとって、商品開発は初めての挑戦でした。まず、そのままの赤ワインを使おうとすると、アルコールなので免許が必要となり、取得するのに時間がかかりすぎてしまいダメ。火にかけてアルコール成分を飛ばしてもうまくいかない。

アルコールの問題が解決したら、今度はスタッフの間で「美味しい」の基準がバラバラで、味が定まりません。他の人に試食してもらってアドバイスをもらい、改良を加えても、お店で出していたあの味からは遠くなってしまったりしました。

商品開発室でドレッシングの試作を重ねる

多くの試行錯誤を経て、4種類のドレッシング「エマドレ」と、4種類のハーブソルト「エマソルト」が完成しました。

商品には、お店に来れなくてもご自宅に乾杯を届けたい、という思いを込めました。乾杯は、人の暮らしの中でも大切な瞬間だと思うんです。「今日も終わったな」と一息ついて、リラックス時間が始まる合図が乾杯。コロナ禍で「そうか、私は乾杯を提供する仕事をしてきたんだ」と自覚しました。

──「エマドレ」「エマソルト」を味わったお客様からは、どんな感想をもらいましたか。

最初の完成品をお客様にお届けして「ワインの味がするね」「ビールの味がするね」と言ってもらえたときは、スタッフ皆で喜び合いました。

あるお客様から「よく頑張ったね」と、ねぎらいの言葉をもらったときは、お店に来れない間も、私たちのことを気にかけて応援してくださっていたんだな、と感じて、目頭が熱くなりました。

その後、コロナ禍が収まってきて、バーを再開できるようになりました。バーの店頭でも販売するようになると、意外にもソルトの方が人気で売れています。

人間にとって塩というのがいかに普遍的に愛される調味料なのかというのを実感しています。特に女性のお客様から好評をいただいてリピートされる方も多いです。

「ノンアルコールなのにしっかり赤ワイン」

──展示会にも積極的に出展していますが、反響はどうですか?

いろいろな方にお越しいただいて、嬉しいお話をいただいて、いくつかについては具体的な取引にもつながってきています。

展示会出展の様子

2024年6月の海外向け食品展示会での出展の様子

たとえば最近だと、日本の食品を海外企業向けに紹介する展示会に出展したのですが、香港の方が来て、「ノンアルコールなのに、ここまでしっかり赤ワインの風味が出せるのはいいですね。この『カンパイポンズ』は、病院で出せますか」と聞かれました。

お酒が好きだけど病気で飲めない人に出してあげたい、と言うことなんです。それまでは、お酒と一緒に楽しめるように、と考えてばかりいて、健康食品とは遠いものと思っていたので、予想外の反響でした。

まずは「カンパイポンズ」を餃子につけてみてほしい

──「エマドレ」と「エマソルト」のおすすめレシピを教えてください。

たくさんありますが、まず、赤ワインが香るポン酢「カンパイポンズ」は、ぜひ餃子につけて食べてみてください。それから、同じひき肉料理ということもあって、ハンバーグにも合います。さっぱりとした味わいになります。

おすすめの餃子×カンパイポンズ

「エマドレ カンパイポンズ」
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「カンパイMISO」は、ビールで使われるホップの苦みが強く出ます。これは、野菜スティックにつけると、いつもの素朴な野菜とは違う個性が出ます。

「エマドレ カンパイMISO」を野菜スティックのディップに

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「エマソルト」はどれもですが、唐揚げやフライドポテトにちょっとかけるとすごくおいしいです。サラダなら、「エマソルト」にオリーブオイルも加えれば、切っただけの野菜もちょっとおしゃれに食べられると思います。「さかたの塩」を使っているので、ブレンド前の塩自体にも旨味があるんです。

意外性のあるレシピだと、「エマソルト」はフルーツとも相性がいいです。「WHITE WINE」というソルトなら、キウイ、バナナ、リンゴなんかと合います。口に運ぶと、甘みと塩味とハーブの香りが広がります。塩分とビタミンが摂れるので、暑い夏場におすすめの食べ方です。

「エマソルト WHITE WINE」は、意外とフルーツとも好相性

「エマソルト WHITE WINE」
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──今後の展望は。

商品を一度開発したらおしまいではなく、さらにブラッシュアップして、多くの人々に愛されるものにしていきたいです。すてきな方々に使っていただいて感想をこういった記事で紹介する等、サイトやSNSを引き続き活用しつつも、ショッピングモールなどでの実店舗販売も目指していきます。

──最後に、読者へのメッセージがあれば教えてください。

最近会えていない大切な人に、ギフトとして乾杯の気持ちをお届けしませんか。

ご両親のお誕生日や敬老の日に。ノンアルコールの商品なので、出産祝いや結婚のお祝い、毎日頑張っている自分へのご褒美にも、ぜひ美味しい乾杯の贈り物を。

「エマドレ」「エマソルト」は、今までなかったお酒の香りがする調味料です。この記事を読んで興味を持たれたなら、お気軽に試していただければと思います。

それから、インスタでレシピをどんどんアップしているので、フォローもお願いします。

エマパーソン

中山祐子

中山 祐子

Yuko Nakayama

株式会社Aperio代表。アルバイト、会社員等を経て、2013年より京都祇園にてバー「繪真(エマ)」を経営。コロナ禍を機にドレッシング「エマドレ」の製造販売を開始。京都生まれ、京都育ち。